お墓参りの思い出

祖父が亡くなったのは、私が小学2年生の時だった。

お墓参りの思い出

祖父が亡くなったのは、私が小学2年生の時だった

祖父が亡くなったのは、私が小学2年生の時だった。その頃はまだ高度成長期の後半で、地方都市でも墓不足の感があった。祖父はまだ50代だったので、保険金も出たし、一部上場企業の重役だったため社葬をあげてもらうなど、悲しみの中にも祖母には十分なお金が残された。
祖母が選んだ墓は、値が張るが新興住宅地らしからぬ、山を削って造られた新興墓地だった。この墓地は山の中にあったので、車で行くしかない様なところだったが、毎日シャトルバスなるものが出発し、シャトルバスの停留所には雨風を避けてお茶まで供される待合室も完備されていた。
造成されたばかりのその墓地には、いつでも大勢の人が墓参りに訪れていた。だから、私の初めての墓参りは、バスに揺られてちょっとしたピクニック気分だった。墓と墓の間の道はちょっと狭かったが、子供がお供えを持って歩く時に、スキップできるくらいの余裕があった。私は弟と走り出したのであるが、母から注意された。「お墓で転んでけがでもしたら、治らないよ」と。私も弟もその言葉にドキッとした。
ここは、死者の眠るところ、そんな所で怪我などしたら、道連れに死ぬのかも知れない、と。
それからというもの、私達姉弟は墓では神妙な顔で慎重に歩くようになった。その言葉が何だか本当な気がして、今でも墓を歩く時は気を付けている。

Copyright (C)2019お墓参りの思い出.All rights reserved.